許嫁な二人

   「なあ、唯。」



 しばらく間があいてから、悠に呼びかけられて、唯は顔を
 あげて悠を見る。

 目の前にまじめな顔をした悠がいて、唯をじっと見ている。

 何?という気持ちをこめて唯は悠を見返したが、悠は何も言わず



   「まあいいや、水曜日にな。」



 と言って、顔をそむけた。



   「うん、わかった。」

   「待ってる。」



 いつもらしくない悠の態度に、違和感をおぼえたけれど、唯も
 それ以上何も言わず、悠とわかれた。
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