許嫁な二人

   「、、、だめだよ。」



 微かに聞こえてきたのは、否定の言葉だった。

 聞こえた言葉を信じたくなくて、体をはなして透は唯の顔をみる。

 その顔は強張っていた。



   「なぜ、ダメなんだ。」



 透の問いかけに、しばらく黙ったままだった唯がポツリと言葉をおとす。



   「去年、病気をしてから、お父さん調子が戻らなくて、、、
    だから、、、神社の跡取りを決めるために、、、

    お見合いするの、来月に。」 
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