許嫁な二人
誉の言葉に唯は唖然とした。
「でも、隆信さんは誉さんの後をつがれるのでは?」
「娘の恭子が夫婦揃って戻って来ると言っているんだ。
婿養子に入ってもらって、神社のことは、恭子たちにまかせよう
と思っている。でも、唯ちゃんが、ここを継ぐつもりで
いるのなら、この話はなかったことにしてくれていい。」
思ってもみない話だった。
ただ、呆然とする唯に、千賀子の声がきこえた。
「唯ちゃん、私たちはね、あなたに、もう少し自由に考えて
もらいたくて、この話をもってきたの。
あなたは確かに、碓氷の血を継いでいく人だけど、
そのことに縛られてほしくはないの。
もっと、はやくにこうできていればよかったのだけど、、、。」
唯と透のことを一番近くでみてきた千賀子だから、の言葉だった。
”まだ、遅くはない”と千賀子はいったが、本当にそうだろうか、
透は、、、許してくれるだろうか、、、。