許嫁な二人
「さっすが、ラブラブ。」
「ほんと、ほんと。」
そう言いながら、玄関のかべにもたれてニヤニヤこちらを
見ているのは、クラスでも鼻つまみ者の平田たちだった。
「何なのよ、あんたたち。」
良世がムッとして言うと、平田たちはニヤニヤを深めて
こう言った。
「瀬戸と碓氷だよ。本館のお風呂から二人そろって
帰ってきたんだぜ。ラブラブカップルはやることが
ちがうねぇ。」
「そうそう。」
「何言ってんのよ。瀬戸くんは唯ちゃんを探しに行って
くれたんだよ。」
良世がそう説明しても、平田たちは引き下がらない。
「そりゃ、そうだよな、二人は ”いいなずけ”だもん。」
「何よ、それ。」
「だから、将来、結婚すること決まってんの、この二人。」