許嫁な二人
平田がそう言った途端、キャーとだれか女の子が叫ぶ。
「え、え、そうなの?、瀬戸くんと碓氷さん。」
「えー、そんな信じられない。」
「私、瀬戸くんのこと、いいなっておもってたのにぃ。」
ざわめきが激しくなり、二人を噂する声がぐるぐるまわる。
唯は唇をかみしめた。
ちらりと透を見ると、やはり唇をかみしめ、白っぽくなった
顔を呆然とみんなの方へむけている。
それから、駆けつけてきた先生たちに、それぞれ部屋に戻るように
言われて、ぞろぞろとみんなはその場を離れていき、唯と透は
事情を話すために先生の部屋によばれた。
みんなとは離れて、先生の部屋にむかう二人の後ろから、
「ラブラブって本当?」
「きゃー、いやだ。」
というひそひそ声がいつまでも聞こえていた。