許嫁な二人
ぼーっと考えごとをしていたら、先に部活動の申し込み書
を書き終えた良世が、トントンと机をたたいた。
「あっ、ごめん、今書くね。」
良世とはクラスがひとつずれてしまったけれど、こうして
時々逢いにきてくれる。
快活な良世は、クラスで新しい友達を見つけたようだけど
昔から引っ込み思案な唯は、まだ仲良くなった友達はいない。
そのことを良世は、姉のように心配してくれる。
そんな良世に見守られながら、唯は申込書の一番上の欄に
弓道部と書いた。
「弓道って、、ちょっと唯ちゃん、それ運動部じゃん
だいじょうぶなの?」
「うん、弓道は小学生の頃からやってたの。」
「でも、ここの弓道部、強いんだよ、練習も半端
じゃないって。」
「わかってる。」
「わかってるってさぁー」
そう言って顔をしかめる良世に唯は笑ってみせた。