許嫁な二人

 その日の帰りに、唯は校舎の東側にある弓道場へと
 足をむけた。

 道場には、2、3年生がまばらにいるだけで、まだ
 練習ははじまっていない。


  (ここで本当にやれるのかな)


 期待とともに不安もやっぱり湧いてくる。

 熱をだすことはへり、丈夫になってきたと思うものの
 城元小からの生徒の大半が自転車通学の中で、唯は無理だと
 判断されて、バスで通学している。

 でも、そんな自分だからこそやってみたいという気持ちがある

 場内を熱心に見つめていたら 



   「唯ちゃんじゃないか。」



 と声をかけられた。

 背が高く、肩幅のひろい上級生が、にこにこしながら
 近づいてくる。



   「上条先輩、、、。」



 上条晃良は、唯の2こ上の3年生、弓道部の部長だ。
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