許嫁な二人

   「入部届け出した?」

   「はい、今さっき出しました。」

   「じゃあ、早速やってみる?」

   「い、いえ、まだ、、、。」



 唯はあわてて手を振った。



   「唯ちゃんならすぐできるよ。」
  
   「私なんてまだまだ、、、。」



 そう言う唯に、くすっと笑うと上条は言葉を続ける。



   「何言ってんの、熱のせいで大会にはでられなかった
    ものの、練習ではすごい腕前だったんだから、
    自信をもっていいんだよ、唯ちゃんは。」



 上条は唯と一緒の道場に通っていた。

 だから唯の弓道の腕前を知っている。



   「まあ。まずは体力をつけるのが、唯ちゃんの一番
    の課題だけどね。」

   「はい、そうです。」



 運動部はキツいのではと渋る唯を説得し、気持ちに勢い
 をつけてくれたのは上条だ。



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