許嫁な二人
「基本は出来てるし、結構うまいよ、彼。」
じっと透を見つめる唯の頭の上から、上条の声が落ちてきて
はっと我にかえった唯は
「彼も弓道部に入るのですか?」
と、問うた。
「そうだよ、真っ先に入部届けがでてた、それですぐ
道場にやってきて、弓を引いている。」
(そんな、、、)
唯は声にならない悲鳴をあげた。
透のことを忘れてやっていけると思ったのに、部活動で
また顔をあwせることになるなんて、、、。
唇を噛みしめて、じっと透を見つめる唯に何か感じとったのか
”知り合い?” と上条が唯に聞いた。
「えっ、いいえ、、、。」
とっさにそう答えてしまい、唯はほぞを噛んだ。
同じ小学校出身だとわかれば、嘘は簡単にばれてしまう。
不安げに瞳をゆらす唯を訝しみながらも、上条は
練習があるからと道場の中へもどっていった。