許嫁な二人

 バス停について、しばらく話がとぎれたと思ったら
 良世がつんつんと唯の腕を突っついた。



   「ねぇ、、、。」

   「何?」



 しばらく言いよどんだが、良世は ”瀬戸くんも弓道部なの?”
 と聞いてきた。

 良世のおもしろい話のおかげで、浮上しかけていた気持ちが
 ひゅーっとしぼむ。



   「...........うん、そうみたい。」

   「ふーん、サッカー部だと思ったのにな。」

   「うん、私もそう思った。」



 そしてまた、しばらく沈黙が続いた。

 その沈黙のカーテンを押し破るように、良世が



   「ねえ、唯ちゃん、あの修学旅行の後でさ、、、。」



 と話しはじめたところで、バスが角を曲がってやってきた。
< 30 / 164 >

この作品をシェア

pagetop