許嫁な二人
昼休み、ひとり自分の席に座り本でも読もうと
机の中に手を入れたところで、唯は教室の入り口に
たってこちらに手をふる人が目にはいった。
「良世ちゃん、、、。」
なかなか友人のできない唯を心配して、良世は時々
唯をたずねてくる。
ところが今日はその後ろをついてくるもう一人の人物
がいた。
自分の後ろをついてくる見知らぬ男子生徒を見上げて
良世がムッとした声をだす。
「何ですか」
「いや、僕は碓氷さんに用があるんで、、、。」
「はぁ?」
唯の机近くまで来て、良世はすっとんきょうな声をあげると
唯と自分の後ろをついてきた諸井の顔をこうごに見る。
「彼は諸井くんっていうの、同じ弓道部で、、、。」
唯の説明を聞いて納得した良世だが、諸井が唯の家に行く相談
をしにきたのだと言うと
「はぁ?」
とまた、すっとんきょうな声をあげた。