許嫁な二人

   「おい。」



 振り向いた唯が透をみとめて顔を強ばらせる。

 そのことにムッとなったが、唯にそんな顔をさせているのは
 自分だと思い至ったから、気にせず言葉を続けた。



   「健康診断って、どこか悪いのか?」



 突然の透の問いかけに、唯はきょとんとした顔をしたが
 すぐに小さく両手をふって



   「大丈夫だよ。」



 と言った。



   「でも、何回か部活を休んでいるだろ。」

   「うん、ちょっと不整脈がでてるからって、、、。」

   「不整脈?」

   「心臓の脈拍がおかしいみたい。」



 それを聞いて、難しい顔をして黙ってしまった透に
 あわてて唯は言い足した。



   「部活をなるべく続けたいから、大事をとって
    検査しているだけで、本当に大したことないの。」

   「そう、、、なのか。」



 それきり透は言うことがなくなってしまった。

 大丈夫ならいい。

 こうして部活にも来ているわけだし、、、。
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