許嫁な二人

   「でも、同じ城元小だっていう女の子と時々一緒に
    帰ってるじゃん。」



 そう言った先輩の方へくるりと体の向きを変えた香山先輩が
 口を尖らせた。



   「うん、その子ウザイんだけどさ、きっぱり彼女じゃないって
    本人が否定したからさ。」

   「なにぃー、直接聞いたの?積極的!」



 もう一人の先輩から茶化すような声があがった。


  (なんなんだろう、、この人達、、)


 唯はムカムカした気持ちが沸き上がってくるのを感じた。

 それに透と一緒にかえっている同小の女の子というのが
 気になる。

 その時、”あの” と小さい声がして、そこにいた全員が声のした
 方をふりむくと、唯と同じ弓道部の1年生の女子が頭を下げていた。



   「香山先輩、すみません。私、ちっとも出来なくて、、、。」



 その子がそう言うと、話しかけられた香山先輩はみるからに
 不機嫌そうな顔になり、小さい声で ”うざっ” と言った。

 そんな先輩の様子に、その子はますます肩を縮こませると



   「すみません、、、。」



 と消え入るような声をおとす。

 
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