許嫁な二人
3日後の文化祭当日は、秋晴れの気持ちよい日だったが、
透は眠くてぼんやりする頭で、人でごった返す廊下にいた。
本当は、自分のクラスである2年5組のお化け屋敷の呼び込み
をするように言われたが、そんなものはちゃっちゃとうっちゃって、
透はあてもなくぶらぶらと廊下を歩いている。
そうしたら、前から担任の柴坂がやってくるのが見えて、透は
顔をしかめた。
「よお、瀬戸、ヒマそうだな。」
通り過ぎてくれと思ったのに、透を認めた柴坂は近づいて
声をかけてくる。
「ヒマなら顔をだせよ。今日は弓道部で体験教室をやるんだ。」
柴坂は弓道部の顧問もやっている。
そして、透に弓道をやれとうるさい。
1年の時から、言い続けられているが、透は弓道をやる気はない。
確かに透は、桜下第二中で弓道部に籍をおいていたが、最後の方は
ほとんど幽霊部員だった。