許嫁な二人
(2)

 毎年、春に行なわれる修学旅行が、なぜかこの年は秋に
 おこなわれた。

 透たちの次の年からは、また春に戻ったから、なぜなのか
 わからないが何かしら理由があったのだと思う。



   「ほら、これが修学旅行の冊子。中にグループ分けの表が
    のってるから見とけよ。」

   「うん、わかった。」

   「表紙に名前も書いておけってさ。」

   「はい。」



 修学旅行の前の週になって、それまで暑かったのに、急に朝晩の
 ひえこみがはげしくなったと思ったら、唯が熱をだして
 学校を休んだ。

 透は担任の先生から預かった、修学旅行関係のもろもろの
 プリントをもって、唯の家に寄っている。



   「旅行は行けそうなのか?」

   「うん、絶対いきたい。」



 まだ赤い頬をした唯は、布団の上で上半身だけ起きあがっていて
 きゅっと口をひきむすんでみせた。

 がんばって病気がなおるなら世話はないが、小学校6年間の
 メインイベントだ。

 無事にいければいいと透も思う。
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