許嫁な二人
(10)
教室の窓から、満開の桜をながめる。
(東京にも桜はあったけど、やっぱり桜下の
桜が一番だわ)
唯は目にうつる、薄紅色を楽しんでいた。
「唯ちゃん。」
「唯。」
華やかな声にふりむくと、秋に転校してきてすぐに
仲良くなった、満と有未が机に近づいてくるところだった。
「よかった、クラスまた一緒ね。」
有未が嬉しそうな顔で言うと、反対に満はぷうっと頬を
膨らませた。
「もう、私だけクラスが違うなんてずるい。」
「しょうがないじゃんねぇ。」
有未がそういうので、満の頬がますます膨れた。
「あ、予鈴がなった、いかなきゃ。」
満が走って教室をでていき、有未は唯からい1列はなれた席に
座る。
めいめい教室の好きなところに散らばっていた新しいクラスメート
たちも席につきはじめ、担任の先生が入ってくると、すぐに出欠が
とられた。