許嫁な二人

 背が高そうで、肩幅ががっちりとしていて、、、それに、、
 透くんは短髪だった、、、でも彼は耳が隠れるほどだが
 短髪じゃあない。

 ぱっと見て、透とは違うところばかりに目がいくけれど
 よくよく見てみると、奥二重の涼しげな目元とか、シャーップな
 顎のラインとか、昔の透の面影がうかんでくる。


  (透、、くんだ、、)



   「17番、碓氷」

   「碓氷、、いないのか。」

   「碓氷 唯!」



 突然大声が耳の中に入ってきて、唯は”はい!”と言いながら
 ガタンと立ち上がった。



   「なんだいるんじゃないか、ちゃんと返事をしろ
    あと、小学生じゃないんだ、立たなくていいぞ。」



 担任の先生の言葉に、教室のあちこちでくすくす笑い声が
 もれる。

 唯はまっ赤になって、すとんと腰をおろした。
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