許嫁な二人

 透くんがここにいるとすれば、それはここの生徒
 だからであって、今日転校してきたわけじゃなさそうだから
 2年生のときからいたわけであって、、、、。

 なのにどうして諸井くんが何も言わなかったのだろう?

 授業の間、唯はちらちらと透の方を伺いながら、
 ぐるぐるとそのことを考えていた。

 諸井とは、昨秋転校してきてすぐに出逢っている。

 同じ高校だということを喜びあい、いっぱい話をしたし
 今だって、話もするし、メールだってする。

 それなのに、、、。

 透もだ、、。

 転校生は目立つものなのに、私が転校してきたことに
 気づかなかったのだろうか、、、と唯は思った。

 考えても答えなんて出てくる訳もなく、透のことをもんもん
 と考えているばかりで、2年生の復讐プリントはちっとも
 埋まっていかない。



   「どうした碓氷、ほとんど白紙じゃないか。」



 もうあと5分で終了のチャイムが鳴るというところで、
 大きな声でそう先生に言われて、唯は穴があったら入りたくなった。



   


 



 
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