Season~千の季節~
第1章~内田光輝~
中3 春
「ごめんなさいっ!!」
しばしの沈黙の後、僕の耳に飛び込んできたのは、「それ」だった。
「え―――」
顔を上げると、彼女は真っ赤な頬を隠すように下を向き、唇をかみしめていた。
沈黙が流れる。
きっと恥ずかしいのだろう。
もちろん告白した自分だって恥ずかしい。
でもこんな時は、自分が言葉をつながなきゃ。
「あっえ、うん。そうだよね、ごめん。いきなりでびっくりさせちゃったよね、うん。とにかくごめん・・・!!」
とっさに出たこの場をつなぐ言葉は、これしかなかった。
僕は、いろいろな恥ずかしさで張り裂けてしまいそうな胸を必死に押さえつけ、そのまま教室を出て行った。