雨のようなひとだった。
部屋の外でぱたぱたと軽い足音がすることにも慣れてきた。
夕食が終わり俺が片付け、彼女が風呂へ入る。
その時既におやすみの挨拶は済ませておくのが自然の流れとなっていた。
皿を洗い終えた俺は酒やらつまみやらを抱えて自室へと入り、彼女も風呂が終われば自室へと向かっていつ就寝しているかなどは全く知らない。
冷蔵庫に飲み物や菓子を取りに行ったりするときに顔を合せることはあるけど、軽い会話をして改めておやすみを言うくらいだ。
俺が先に風呂へ入ることが多いのは、なんつーか、ほら。
女性が先に入ると色々気を遣わせてしまうかもしれないし、とか言いつつ俺も出るとき湯船を網で救う程度に気は使っているけど、何より湯上りの彼女をあまり直視したくないというのが本音だった。