雨のようなひとだった。
「マジかよ……」
「マジ」
「よくたまんねぇな。聖人君子か」
「うっせえな……」
日曜日。
久々にひとりでウインドーショッピングでも――というのはまぁ口実で、休日が重なった彼女とずっと家で顔を突き合わせているのも色々と辛くなってきたというわけで街ブラしてみたら、大学時代の悪友とばったり会った。
メシでも喰うかと喫煙者がガラスで区切られているカフェへと赴き、互いの近況の流れで彼女の話題になったのだ。
勿論、彼女が泣いていたあの夜のことは話していない。
好きな女と同居していると簡潔に言ったまでで、それが尚更信じられないといったふうだった。
三本目の煙草に火を点けた悪友、結城は大げさにため息をついてもう一度言う。