雨のようなひとだった。
不思議なくらい頭は冷静だ。
思っていたよりも小さいんだな、とか、やわらかいな、とか、イメージしていた香りとは違う身体のにおい……ここまでくると変態くさいが、まぁそんなことを考えられる余裕さえある。
すっぽりと俺の両腕に抱きすくめられている彼女も、身体が強張ったのは最初だけ。
不思議なほどに落ち着いてすらみえた。
だから、悪戯心が芽生えた。
「……もしかして、ちょっとは期待してました?」
「そ!」
「そ?」
「それは…ないです、けど……」
「けど?」
俯いているおかげで首が赤くなっているのが見える。
余裕がないことがわかって内心満足しながら、言葉の続きを待った。
腹のあたりがもぞもぞと動いたと思ったら―――