雨のようなひとだった。
結城と小突き合いながら改めてアイス珈琲へ手を伸ばし、のどを潤す。
「……心配してくれてたんだな」
小さく呟くと、少しバツが悪そうに結城が答えた。
「だっておまえ……あの人は?って訊いたら『出てった』で終わるから」
「事実だろ」
「そこでシャットアウトされたら傷になってんのかなとか思うだろ普通」
「まー……そうか」
「そうだよ」
――――あれから2か月近く経つ。
季節は巡り、既にアイス珈琲をかきこみたくなるほどにはなった。
初めてあの人に会った時から考えたら、季節をふたつまたごうとしている。
「結城が思ってるほど傷にはなってないと思う、俺」
「そうなん?」
「うん。だからそんな見んな気持ちが悪い」
「うっわヒデェ」
「で?お前はどうなんだよ?」
心配はありがたいが、うまく説明出来る気がしないから話を逸らした。