ゼロの相棒
私の問いかけに、ゼロはピクリ、と体を揺らした。
そして、少しの沈黙の後、口を開く。
「“最果ての丘”だよ。」
“最果ての丘”…?
聞いたこともない名前に私は首をかしげる。
ゼロは私に目を合わせて言う。
「名前の通り、この国の最果てにある、一面草原が広がってる丘だよ。
住んでる人もいなければ、そこに生息する魔獣もいない。」
そんなところがあるんだ…。
一面の自然なんて、ここら辺にもあるが、人も魔獣も住んでいない、となると
とても珍しい場所だ。
しかし、ゼロの話を聞いた限りでは、そこには自然の他に何もないように思える。
「ゼロはそこで何をするつもりなの?」
私が聞くと、ゼロは
「俺を取り戻すんだよ。」
と、ポツリと言った。
私はその言葉の意味がわからなかったが、ゼロがとても澄んだ、悲しい目をしていたので
そのまま追求することができなかった。