ゼロの相棒
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夜も更け、私は、ゼロとテントの中で寝そべっていた。
すると、ゼロが私をじっと見つめている。
「なに?何かついてる?」
私が尋ねると、ゼロが表情を変えずに言った。
「フィオネの髪って綺麗だよな。」
「えっ!」
いきなりのことに、胸が鳴る。
ゼロはまじまじと私の髪を見ている。
「会った時から思ってたけど、その髪の色って遺伝?」
ゼロが私に尋ねる。
「あんまり覚えてないんだけど、母親から受け継いだ色なの。」
それを聞くと、ゼロはふっ、と笑って優しく言った。
「昼間も太陽に反射して綺麗だけど、夜の月明かりの方が俺は好きだな。」
どくん。
その時、胸が鳴った。
“好き”という言葉に反応して、一気に体が熱くなる。
なんだか、最近私は変だ。
今までは、ゼロが隣にいても、青年の姿にならない限りは緊張したりしなかったのだが
星の町を出てからというもの
自分でもよくわからない感情が、心の中に現れるようになった。
ゼロが最近よく笑うようになったというのもあるが、
私は、それが嬉しいのだろうか。
「ん?どうした?」
ゼロは私の頬が赤くなっているのを見ると、不思議そうに顔を覗き込む。
「…別に…なんでもない。」
私は平静を装って答えた。