ゼロの相棒
ちら、と隣を見ると、ゼロは
うとうとしている。
久しぶりに魔力を使ったから疲れたのだろうか。
ジンから、混血のゼロは、魔法を使うと
体力を削りやすい、と教えられてからは
ゼロに魔法で飛んでもらったり、食料調達のために身体能力を高くしてもらったりすることは避けてきた。
ゼロは私に弱みを見せたりしないから
疲れた、なんて言われたことはないけれど
都市に着いたら、ゆっくり休んでもらおう…。
私は眠りについたゼロの顔をそっと見ながら考える。
ゼロは、謎な少年だ。
自分のことはあまり話したがらないし
心を開き始めてると言ったって
一定の距離は越えてこない。
…相棒ってそんな感じの距離感なのかな。
私は小さくため息をつくと、
ゼロの隣で目を閉じた。
夜の闇が、ゆっくりと二人を包んでいった。