ゼロの相棒





ゼロは無言で赤い屋根の店を見上げている。



そこは、魔力が込められた道具を扱う
専門店のようだ。




看板には古い文字で、“魔具ショップ”と書いてある。






なんだかドキドキしてきた。






すると、ゼロは急に



「フィオネはここで待っててくれ。」



と、言って、町の中へと駆け出して行ってしまった。






え?一人で待ってるの?







「ゼロ?!待って!!」






私が彼を追いかけようと、
走り出した時だった。







ドン!!






路地から出てきた人とぶつかってしまった。






「きゃっ!」




お互いぶつかった拍子に地面に倒れこむ。




私は、尻もちをついたぐらいだが
ぶつかる瞬間みた限り、相手は子どものようだった。







急いで顔を上げると
灰色の目をした少年と目があった。






「ごめんね。怪我はない?」






私は少年に手を貸すと
少年はすくっ、と立ち上がった。




薄い桃色の髪の毛をしたその少年は
じっと私を見つめていた。





なんだか、不思議な子だな……。




そう思って見ていると

すっ、とポケットに手を入れて
彼は小さな石ころを取り出した。






手のひらに石ころを乗せると、少年の瞳は輝きだす。





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