ゼロの相棒
酒場の扉を開けると、いきなりトランプのカードが飛んできた。
私は急いでゼロの背中に隠れた。
ゼロは顔色を変えず、それを振り払う。
「ちょっと負けたぐらいで頭に血が上りすぎじゃないのか?
…まぁ、俺は何回でもお前に勝つ自信はあるが。」
見ると、赤い制服を着たガーディアンと、筋肉ムキムキの男性が、机を挟んで座っている。
「このやろう!調子乗りやがって!!
こうなったら魔法で勝負だ!!!」
大柄な男が、だん!、と立ち上がる。
「魔力を使ったって、俺に勝てる訳ないだろ?………試してみるか?」
目の前に座っていたワインレッドの髪の毛をした青年も、立ち上がる。
「ゼロ、なんだか嫌な予感がしない?」
私が聞くと、ゼロはしれっとした顔で
「大丈夫だと思うぞ。たぶんもうすぐ“ヤツ”が来るから。」
と、言った。
“ヤツ”?
不思議に思っていると、酒場の扉が
ばん!と開いた。