ゼロの相棒
「よく来た、フィオネ。あんな馬鹿についてきてくれて本当に感謝してるよ。
わしの事は、本当の家族のように思ってくれて結構じゃ。グラン、と呼んでくれ。」
グランは、にっ、と笑ってそう言った。
その顔は、ゼロにどこか似ているような気がした。
「本当の家族じゃなくても……
一緒に住んでいれば、似てくるものですね。」
私はつい、思ったことを口に出してしまった。
でも、グランなら、私がすでに
ゼロとグランが本当の家族でない事を知っていると、
わかっているような気がしたから
本音が出てしまったんだと思う。
すると、グランが私を見ながら言った。
「そうだな…。フィオネも…よく似ておるよ。“あの方”に…。」
“あの方”?
ジェノバのことかな…?
グランなら、ジェノバの事を知っていてもおかしくはないと思ったが、
グランが、どこか懐かしむような瞳をしていたので、私は尋ねてみた。
「私に似てるのって、誰のことですか?」