ゼロの相棒
そんな……。
その時、私の頬に涙がつたった。
自分でも無意識のうちに、涙が溢れていた。
なぜだか、すごく悲しい気持ちになる。
そんな私を見て、グランは私の涙を拭いた。
「大丈夫じゃよ。その赤ん坊はちゃんと育って、命をつないでいったみたいじゃしな。」
グランは、まっすぐに私を見た。
その目には、うっすら涙が浮かんでいるのがわかる。
グランは、私を軽くなでた。
私はなぜだか、すごく暖かい気持ちになった。
グランの手は、ジェノバの感触によく似ていた。
いつも、子どもの頃は、頭をなでてもらっていたっけ……。
その時、チーン、と
パンの焼けた音が鳴った。
同時に、家の外から、くしゃみをする声が聞こえる。
「さぁ、夕飯にしようか。そろそろあいつも懲りたじゃろう。中に入れてやっとくれ。」
グランはそう言うと、にっ、としわを寄せて笑った。