ゼロの相棒
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ログハウスを出ると、そこはすっかり朝の光に包まれていた。
爽やかな風が体に吹く。
とりあえずは、ゼロの知り合いの人に会いに行ってみようかな。
私は、まずは酒場を目指して歩く事にした。
ゴリーさんがいるかもしれないし、
酒場なら、色々な情報が手に入るかもしれない。
ここから、都市の入り口までは一本道だし、迷う事もない。
私は森に流れる空気を吸い込んで、
深く息を吐いた。
歩きながら周りの木を見ていると、
昨日は気づかなかったけど
ところどころに剣で付けられたような跡や、焦げた跡のようなものがある。
「ここで…ゼロが育ったんだ……。」
魔法の練習をして付けられたものなんだろうか。
頭の中に、星の町でジンが見せてくれた
ゼロがジンやラグナさんと遊んでいる映像が流れてくる。
何事もなければ……
ゼロは今でも、ここで幸せに暮らしていたかもしれなかったのに…。
私は、ゼロの事情を知れば、彼の心の傷を少しでも軽くできる手伝いができるような気がしてた。
できるだけ……ゼロの事を聞きたいな…。
私は、少し速足で森を抜けた。