ゼロの相棒
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私が気がついた頃には、私たちは大通りから少し離れた路地にいた。
私はラグナに言う。
「すごい…。今の瞬間移動ですか?」
私が目を輝かせてラグナを見ると、
ラグナは怒ったような顔をして言った。
「あんた、魔力のない人間のくせして、この国の最高権力者の魔法使いに喧嘩売るなんて、バカなの?
あのまま殺されてもおかしくなかったわよ?!」
ラグナの言葉に、私はまっすぐ彼女を見て言う。
「だって…あいつ、ゼロの悪口を言ったから……。」
言われてみれば、私は相当な罪を犯してしまったのかもしれない。
一気に申し訳ない気持ちになる。
もしかしたら、ラグナも一緒に殺されていたかもしれない。
しゅん、としていると、突然、ラグナが吹き出した。
「あんた、ゼロに頼ってばっかりの甘ちゃんだと思ってたけど、意外と度胸あるのね!見直したわ。」
ラグナはおかしそうに笑っている。