ゼロの相棒
ゼロは、声は出さなかったが、動揺しているのが確かに感じられる。
私は、じっと黙って、彼の答えを待った。
私の思い描いている答えが返ってこなかったとしても
私はゼロの本心が聞きたかった。
長い沈黙の後、ゼロはゆっくりと口を開いた。
「フィオネと会ったばかりの頃の俺なら
断言できただろうけど。
……今の俺には、まだわからない、としか言えないんだ。」
どういうこと……?
ゼロの中で、何かが変わっていったということ?
ゼロの言葉の意味を、必死に頭の中で考えていると
ゼロが、初めて私の方を見た。
藍色の瞳が私をまっすぐ見つめる。
「フィオネ。会った時にも言ったけど、
たぶんお前は後悔する。
…それでも。
少年の俺に、ついてきてくれるのか?」
私は、視線をそらさずに答える。
「もちろん。何処へだっていくわ。
…私は、あなたの相棒だもの。」