ゼロの相棒
私はその時、はっ、として
ゼロの方を見る。
ゼロは、ダリシーン本人を目の前にしても、私の想像と違い、そのままでいた。
怒りもしなければ、動揺もしなかった。
ゼロは、ただ、静かに
親子の様子を見つめていた。
その時だった。
サァ……、と朝の光が都市に降り注ぐ。
夜が明けたのだ。
暗闇が支配していた空の色が、たちまち光の色へと変わっていく。
ゼロは、その光を浴びながらゆっくりと
少年の姿に戻っていった。
朔の日が、終わってしまった。
ゼロの魔力が再び小さくなる。
すると、完全に少年の姿に戻ったゼロは
いきなり、グラリと体をよろめかせ
どっ、と地面に倒れこんだ。
「ゼロ?!どうしたの!」
もしかして、魔力の使いすぎで
少年の体ではついていけなかったんじゃ…
私は、ゼロの方へ駆け寄った。
すると私もふっ、と意識が遠のいていく。
目の前がだんだんと霞んでいった。
「……ゼロ……っ」
私は、ゼロの隣で、ぱたり、と意識を失った。