ゼロの相棒
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ゼロは結局、泊まっていくことになり、ジェノバの部屋へ布団を運んだ。
月が空のてっぺんに輝く深夜。
私がふと眠りから覚めて、水を飲もうとジェノバの部屋の前の廊下を進んでいると
部屋からかすかに明かりが漏れていた。
そして話し声が聞こえる。
「ゼロ君…フィオネとの話を聞いてしまったんだが…。
相棒を探しているそうだね?」
「…はい。」
二人とも起きているらしい。
私は気配を殺して、つい、二人の話し声に聞き耳をたてる。
「それならば、フィオネを……。
フィオネを一緒に連れて行ってはくれないか?」
!
ジェノバの言葉に、私は目を見開いた。
「あの子はわしに恩を返そうと、こんな身体になったわしのために盗みを働く生活だ。
もう働けなくなったわしを、捨てることもできない優しい娘だ。」
ジェノバ……?何を……。
「だけど、あの子はこんなところにいていい子ではない。
実際、フィオネは、世界を見たがっている。
彼女の世界は、闇町で終わっていいはずがない。」