ゼロの相棒
****
ゼロは、私を連れて、城の中をぐるぐると歩き回った。
「出来ることなら、一回来たいと思っていたんだ。
ダリシーンが城に入れてくれるとは思わなかったから、望みはないと思ってたんだけどな。」
ゼロは迷うことなく歩き続ける。
一体、どこに向かってるんだろう?
それにしても、広い城だ。
何百年もの歴史があるはずなのに
綺麗なままであるということは
ダリシーンの魔法の力なんだろうか?
私たちは、ある廊下に差し掛かった。
そこには歴代の王の肖像画が飾ってある。
私は、どきん、と胸が鳴った。
密かに、ゼロのお父さんを探してしまう。
彼を見ると、彼も少し気になっているようだ。
あの様子では、写真なども見たことがないのだろう。
生まれた時にしか会っていないのだから
記憶があるはずもない。
すると、ゼロがぴたりと立ち止まった。
「あ……。」
私も、無意識に声が出てしまった。
そこには、黄金の髪の毛をした凛々しい男性が描かれていた。
ゼロによく似ている。
髪の毛の色を隠されていたとしても
すぐにわかっただろう。
真剣な時の青年ゼロの顔にそっくりだ。