ゼロの相棒
ゼロはやはり王家の血を継いでいたんだ。
ゼロは、遠い目をしながらその肖像画を
眺めた。
その目は、目の前の絵を通り越して、その先にあるものを見ているようだった。
「……行くか、フィオネ。
もうすぐ着くぞ。」
少し眺めた後、ゼロはそう言って、
長い廊下を再び歩き始めた。
「待って、ゼロ。」
私は置いて行かれないようにゼロの隣に並ぶ。
それにしても、すごい数の肖像画だ。
廊下一面に同じ間隔で並んでいる。
一枚一枚の絵は、細かい装飾の施された
額縁におさまっている。
それらを見ながら歩いていると、ふと、
隣にゼロがいないことに気づいた。
私が後ろを振り向くと、ゼロが後ろの方で立ち止まっている。
「ゼロ?何してるの?行こうよ。」
私がゼロに向かって言うと、ゼロはハッとして、私の方へと歩いてきた。
「何見てたの?」
私の言葉に、ゼロは私をじっと見ながら言った。
「……いや。なんでもない。」
ゼロは「まさかな…。」と、呟いたが
私はそれに気がつかなかった。