ゼロの相棒




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ゼロに連れられて城の奥にあった扉を開けると、そこは花園だった。



数え切れないほどの綺麗な花たちが咲き誇っている。





花園は、城の外壁によって囲まれていた。

ここも城の内部なんだ。






花に導かれるように、レンガで仕切られた道が奥に続いていた。



私たちはその道をゆっくりと歩いて行く。





「あ……。」





私は、ぽつり、と呟いた。



その道の先には、小さな小屋が建てられていたのだ。




もしかして……。



ここが、ジンの話に出てきた、ゼロの両親が亡くなっていたという城の離れだろうか。





ちらり、と隣にいるゼロを見ると、
ゼロはまっすぐとその小屋を見ている。





「…生で見るのは初めてだな。
さっき、ダリシーンが言ってたんだよ。


この花たちは、先代の国王に向けられた
献花なんだってさ。」






献花……。





それは、墓前に供えられる花のこと。





こんなにたくさん……。






ダリシーンも、
先代の王を殺したくて殺したんじゃないと言っていた





国を、守るために……仕方がないことだったのだろうか。




でも、それは“仕方がないこと”だと、
一言でまとめられるほど軽いものでは
なかったはずだ。




ゼロがこの姿になったのも、
ゼロのせいではない。





しかし、ゼロの両親が悪い、とも言えはしないだろう。





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