ゼロの相棒
「死ぬまで、来れないと思ってたけど
…ずっと、ここに来たかったんだ。」
ゼロは、ゆっくりと離れに向かって手を合わせた。
私もゼロの隣で手を合わせる。
そこには、確かに、“いた”のだ。
ゼロの両親の魂が。
ここで、一生を終えたのだ。
私は花園に吹いている風が、一瞬温かくなるのを感じた。
気のせいだって言われれば、
そうなのかもしれない。
私が隣を見ると、ゼロもどことなく優しい表情をしていた。
やっぱり、ここには“ある”んだ。
ゼロを見守っている強い想いが。
私は、花びらの舞う小さな小屋の前で、
大きく深呼吸をして
そしてお辞儀をした。
心の中で、そっと呟く。
私が、ゼロの相棒のフィオネです。
立派に、相棒の役目を務めます。
だから、これからも、ずっと。
ゼロの隣にいることを許していただけますか…?
その時、風がざあっ、と花吹雪を舞い上げた。
私は、風に乗って舞い散る花びらたちを見つめる。
ゼロを頼みます、と。
そう言われたような気がした。