ゼロの相棒
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大きな門をくぐり都市を囲む壁を越えるとそこには久しぶりに見る大草原が広がっていた。
頬に当たる風が心地よい。
「次は“願いの町”だ。この国の外れの方までいくし…また長旅になりそうだな。」
ゼロが地図を見ながらそう言った。
この国の外れか…。
私がいた闇町も、西の外れにあったから
その町まで行けば、ほぼ国を端から端まで横断したことになるんだ。
「じゃあ行くか、フィオネ。」
私は「うん!」と返事をして歩き始めようと一歩踏み出した時だった。
上空から聞き覚えのある声が響く。
「ゼロのぼっちゃぁぁぁぁぁん!!!」
ぎゅいん、と緑のソリがものすごい速度でこちらにやってくる。
まさか、あの赤いシルエットは…。
「フィオネ様!お久しぶりですな!
坊ちゃんもお元気そうでなによりです」
にこっと笑ったおじいさんは、都市に来て初めて出会った、上級ガーディアンのエドウィンだった。
「エド……。坊ちゃんはやめろって言っただろ。」