ゼロの相棒
「ねぇ、この町にはどれぐらい滞在する予定なの?
…もう目的地は目の前なのよね?」
すると、ゼロがぴたりと足を止めた。
その顔を覗くと、今まで見たこともないぐらいに真剣な表情をしている。
私、変なこと聞いたかな?
そういえば、ゼロはエドのソリに乗っていた時から少し様子がいつもと違っていた。
どこか、悲しそうで
まるで、私と初めて会った時のような顔をしていた。
「…ゼロ?」
私は彼の方を見て呟く。
すると、少年は少しの沈黙の後
口を開いた。
「今までよりも長い時間…この町にいるよ。
……すべてにケジメをつけてから。
この町を出ようと思う。」
私には、ゼロの言葉の意味がわからなかった。
なぜ、丘を目の前にして、この町に長居をするのか。
塔以外には、特に目立ったものもなく
ゼロがこの町で寄りたいと思っているような場所があるとも思えない。
知り合いを訪ねる気もないようだ。