ゼロの相棒
最果ての丘に早く行きたい、と願っていたのはゼロだったはずだ。
私は、ゼロが何を思ってそんなことを言ったのか、想像もつかない。
ただ、ゼロは何かを迷っているように思える。
心が、この場所にないような
そんな顔をしていた。
“ケジメ”って…どういうことだろう?
私は、彼の表情に小さな胸騒ぎを感じていた。
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そのまま二人とも無言で歩いていると、
路地の先に、宿屋の看板が出ているのが
見えた。
「今日はここに泊まるか。」と、ゼロは
宿屋を見ながら言う。
そして、私たちは宿屋の前に着くと、
扉を開けて中に入った。
「わぁ……。素敵な宿ね。」
中は、一面の星空の模様が入った天井に
小さな星の形したランプのシャンデリア が吊り下げられている。
同じ宿屋でも、温かみと癒しをモットーにした星の町のマリーの宿屋とは全然違う世界だ。
「この天井は、魔法で昼と夜とで模様が変わるように作られているんですよ。
いらっしゃいませ。お二人ですか?」