ゼロの相棒
カウンターには、綺麗な女性が立っている
「この宿屋の主人のカトレア、と申します。…弟様と同じお部屋でよろしいですか?」
マリーの宿屋の時と同じことを言われてしまったが
ゼロはあの時とは違い、ムッとした表情は浮かべなかった。
私がこくん、と頷くと、カトレアは二階の部屋に案内をしてくれた。
中も神秘的なデザインになっている。
「ごゆっくりお休みください。」
カトレアはしずかに扉を閉めた。
私とゼロは、二つ並んだベッドに、
それぞれ荷物を置く。
私は、ゼロの方をちらり、と見た。
彼は、無言のままでいるが、いつもと同じポーカーフェイスに戻っている。
なんとなく安心した私は、ベッドに寝転んで天井を見上げた。
そこには、ロビーと同じような星空が
広がっている。
まるで、ジェノバの家の庭でゼロと二人で寝転んで見た時の空のようだ。