ゼロの相棒
塔の守り人
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朝、ベッドの上で目覚めると、
天井の模様が雲と青空に変わっていた。
本当に魔法で装飾が変わるんだ……!
感動して部屋を見渡していると、先に起きていたゼロが部屋に戻ってきた。
「おはよう、フィオネ。
準備ができたら出発するからな。」
私は胸が高鳴ってきた。
今まで、ずっとそこを目指して旅をしてきた
長いようで、短かったようにも思える。
ついに、“最果ての丘”を見れるんだ…。
私は、荷物の整理を終わらせると、素早く着替えて、パンをくわえた。
「別に急がなくてもいいぞ。」と、ゼロはココアを飲みながら言う。
最近わかったゼロのことは、
無愛想でクールな顔に似合わず、甘いものが好きということだ。
ゼロの中では、寒い土地ではココア、と
決まっているようで、昨日、寝る前にも飲んでいた。
私がじっと、見つめていると
ゼロがその視線に気づいて言った。
「ん?心配しなくてもフィオネの分もあるぞ。」
ココアのことを気にしてるんじゃないってば。
心の中でそう呟くと、私はパンを一口で
食べた。