ゼロの相棒
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支度を終えて、宿屋を出ると
そこにはすでに準備を終えていたジンが
立っていた。
「おはよ。さ、行こうか。」
ジンは私に、にっこり笑いかける。
ゼロは、私の隣に来ると、ジンの後に続いて私を連れて歩き出した。
私は町を改めて見回しながら歩く。
昨日は暗くてよく見えなかったが
家の造りにもセンスが感じられた。
窓は、星や月の形になっていて
まるでそれらの力に加護を受けているようだった。
ここは、ゼロにとっては居心地の悪いところなのかな?
ダリシーンの力の象徴が溢れているもの。
月がないところ……
都市みたいな場所の方が、ゼロに合うのかもしれないな。
そう思いながら歩いていると、ふと、ゼロが一番前を歩いていたジンに尋ねた。
「そういえば、お前、昨日塔に知り合いがいるって言ってたよな?一体どんなやつなんだ?
……まさか昨日の女じゃないだろうな?」