ゼロの相棒
****
いつもの薬屋の屋根が見える。
今日こそ失敗は許されない。
今度こそは、骨が折れたとしても持ち帰らなければならない。
「あれ……?」
私は薬屋の様子がいつもとは少し違うことに気がついた。
毎回、お客がいないとしても、主人は欠かさず店番に立っていたのだが、今日は姿が見えない。
おまけに、いつもなら私の道を塞ぐように色々な薬の瓶が置いてあるはずだが、それもなかった。
前に私が割ってしまったからなくなったのだろうか。
そして主人はいま、その埋め合わせに薬を買い出しに行ってるのだろうか。
これはいける……!!
私はすぐに薬屋に駆け込んで、ジェノバ用の薬を掴んだ。
「やっと……手に入った…!」
私は生きてきて、今まで、これほど嬉しいことがあっただろうか。
これでジェノバは病気を治すことができる!
私は一刻も早くジェノバに薬を届けたくて、行きよりもさらに速いペースで路地を駆けて行った。