ゼロの相棒
私もつられて頭を下げる。
「よろしくね、ドロシー。」
私が言うと、ドロシーはじっ、と私の顔を見て言った。
「フィオネさん綺麗……。ジンさんの彼女?」
私は純粋でまだ嘘を知らなさそうな少女に褒められたのが嬉しかったが
その瞬間、和やかな空気にピシッと亀裂が入ったのを感じた。
私の隣の少年が黒いオーラを出し始める。
「フィオネは俺の“相棒”だよ。こいつの女なんかじゃないぞ。」
ゼロがつかつかとドロシーの前に立って言った。
私には、同い年の子どもが並んでいるように見えてしまう。
ジンはそんなゼロの様子を見て、くすくすと笑う。
ドロシーは、ゼロの体をじっと見ていると、全てを察したかのように呟いた。
「……これは見たこともない魔法ですね。術者に興味があります。」
ゼロは目を見開いて、こっそりとジンに
尋ねた。
「…こいつもダリシーンに縮められた
偽ガキじゃあないだろうな?」
ジンは、「ちょっと大人びているけど正真正銘の少女だよ。」と苦笑した。
塔の守護者を任されているとなれば、
やはり魔法使いとしても上級なんだろう。
一目見ただけでゼロが魔力を制限されているとわかるだなんて。