ゼロの相棒




ジンの話では、黒いマントで顔を隠し
町の人々ともまったく会話しなかったらしい。



その男は少しだけこの町に滞在してから
東の方へと発っていったと言うが……。




ゼロが、ジンの方を見て言った。




「もしかして、そいつが“王の血を引く者”なんじゃないか?

封印の力に変化が起きているってことは
王の親族がこの近くにきているってことだろ?」




私たちは、ゼロの言葉に、はっ、とした。


確かに、王の親族の上級の魔法使いでなければ、ナイトメアの封印は解くことが出来ない。




その男が、王の血筋を使って、封印を解こうと考えていたとしたら……?




ドロシーは、少し焦った様子で丘を見た。



「邪悪な気配はまだ感じないわ。王の魔力らしきものもまったくない。

……今はまだ、心配しなくても大丈夫そう。封印が解ける前には、必ず“前兆”があるもの。」





“前兆”…?





私が不思議そうな顔をしていると、
ドロシーは私に向かって言った。





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