ゼロの相棒
私は、自分の心拍数が、どんどん上がっているのを感じていた。
鼓動もどんどん大きくなる。
最果ての丘を見て改めて思ったが、
話に聞いていた通りに“何もない”。
ゼロの様子からしても、旅の目的は、ナイトメアが封印されていることとは全く関係のないことのようだ。
ゼロは、自分自身の魔力を使って、
何をしようとしているんだろう?
ジンは、私の様子が少し変わったのを感じ取ると
ぽん、と私の肩を叩いて、そっと呟く。
「大丈夫だよ、フィオネちゃん。
何があったとしても、未来を決めるのは、君自身なんだから。」
私はその言葉に小さく頷くと、
動揺を必死に押し殺す。
ゼロはそんな私たちの様子を見ていたが
何もしゃべることはなかった。
ドロシーはゼロの方に向かって口を開く。
「ゼロさん、今年の冬至は十九年に一度の“朔旦冬至”らしいです。
太陽と月の満ち欠けの周期が、綺麗に重なるなんて…
何か、運命の導きを感じますね。」