ゼロの相棒
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「ジェノバ!!見て!!」
家に着くなり、私はジェノバに瓶を差し出した。
「これで治るよ!ジェノバ!!!」
私が笑うと、ジェノバはすごく驚いたような顔をした。
本当に、手に入ったのか、と。
私はやっとジェノバに少しは恩を返すことができた。
ジェノバは私をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう……。フィオネ……!お前は私の自慢の娘だ……!」
その声は、少しかすれていた。
「さぁ、ジェノバ!早く飲んで!!」
私はコップを取り出し、瓶の中の液体を注いだ。
ジェノバはそれを大事そうに飲んだ。
「本当にありがとう…フィオネ。なんだか、少し身体が軽くなった気がするよ。
本当にありがとうな……!」
私は心からほっとして、身体の力が抜けてしまった。
よかった……よかった。
魔法なんてなくても…。
世界を知らずに死んだとしても。
ジェノバがいてくれるなら
私にはそれで十分だった。
「もっと栄養を蓄えなきゃね!森で木の実をとってくるわ!待っててね!」
もう、少なくとも病魔に怯える生活からは抜け出せたんだ。
私は軽い足取りで家を出た。