ゼロの相棒



****




「ジェノバ!!見て!!」




家に着くなり、私はジェノバに瓶を差し出した。




「これで治るよ!ジェノバ!!!」




私が笑うと、ジェノバはすごく驚いたような顔をした。


本当に、手に入ったのか、と。




私はやっとジェノバに少しは恩を返すことができた。




ジェノバは私をぎゅっと抱きしめた。




「ありがとう……。フィオネ……!お前は私の自慢の娘だ……!」




その声は、少しかすれていた。




「さぁ、ジェノバ!早く飲んで!!」




私はコップを取り出し、瓶の中の液体を注いだ。


ジェノバはそれを大事そうに飲んだ。




「本当にありがとう…フィオネ。なんだか、少し身体が軽くなった気がするよ。


本当にありがとうな……!」




私は心からほっとして、身体の力が抜けてしまった。



よかった……よかった。



魔法なんてなくても…。



世界を知らずに死んだとしても。




ジェノバがいてくれるなら


私にはそれで十分だった。




「もっと栄養を蓄えなきゃね!森で木の実をとってくるわ!待っててね!」




もう、少なくとも病魔に怯える生活からは抜け出せたんだ。



私は軽い足取りで家を出た。





< 26 / 508 >

この作品をシェア

pagetop